2015/07/22

PMA Fishing Club


PM 5:00

男の朝は早い。

いつも早起きには慣れている男だが、昨夜は就寝が遅かった為か少し眠そうである。

ただ眠いとは言ってられないので眠たい体を寝床から起こし、

早々に身支度を済まし家を出る。

7月半ばではあるが、早朝は気温もそこまで高くなく、すがすがしい気候である。

男は車に乗り込み車を走らせる。

向かう先は友人宅である。

祝日の早朝、友人宅へ向かう道はすいている。

いつもより時間がかからず到着。

携帯を取り出し友人へ「着いた」と連絡。

ピロリン

携帯が鳴る。

「ちょっと待って」

友人からの返信である。

時計を見ると5:45。

道がすいていた為か予定よりも15分も早く到着してしまったようだ。

「早く着きすぎたな・・・」

男はそうつぶやくと車内で友人を待った。

5、6分後友人が出てきた。

この友人をTとしよう。

Tが車に乗り込み、男に栄養ドリンクを手渡しこう言った。

「一日頑張ろう」

Tの約一年ぶりという今日の事にかける意気込みが伝わってきた。

男は栄養ドリンクを飲みほし、

又、車を走らせる。

向かう先はもう一人の友人宅である。

車内ではお互いの近況報告や、今日の予定などを話していると、到着

「着いた」

もう一人の友人に連絡。

こちらも予定より早く着きすぎた為、しばし待つ。

友人が眠そうな目を擦りながら出てきた。

この友人はSとしよう。

すぐさま車に乗り込む。

TがSに栄養ドリンクを手渡し。

「頑張ろう」

と言った。

Sは栄養ドリンクを受け取り

「気合い入ってるねー。これ試供品じゃん!」

と言うと

Tは

「家に沢山あるんだよね。だからどうぞどうぞ。」

と言った

男はそんな会話を聞きながら車を走らせる。

途中たばこを買う為にコンビニへ。

パパッと買い物を済まし車へ乗り込み出発。

Tの実家に寄り、Tは自分の車で目的地へ向かう。

10分もすると目的地へ到着。

某駅の近くにある池である。

そう男たちは今日釣りに来たのである。

狙うはブラックバス。

男にとっては約15年以上ぶりの釣りである。

すでに池には他の釣りを楽しむ人が数人いた。

Tは釣りが好きなのでTから色々とレクチャーを受けてさっそく釣りを始める。

7時頃になるとだいぶ気温も上がり日の光も強くなり立っているだけでも汗が出てくる。

男は蚊に刺されない様に長袖のシャツとフルレングスのデニムである。

暑いが蚊に刺されるよりはマシだとその恰好でキャストしていた。

開始から30分位経った頃だろうか。

男の左側で釣っていたTに当たりが。

そのまま難なく釣りあげた。

サイズは約25~30cm位だろうか。

男はTに聞いた。

「どの仕掛けで釣ったの?」

Tは答えた。

「ノーシンカーだよ。」

そういえばTが昨夜言っていた。

「ノーシンカーでグラブを使って水のボトムを這わせる様にすると釣れやすい」

と言っていた仕掛けだ。

男は「経験者は違うな。言ってた仕掛けで本当に釣れた。」

そう思いながら、

久しぶりに釣れたブラックバスを持って嬉しそうなTの写真を撮り、

InstagramにUPした。

隣で釣れたので男もSも俄然気合いが入る。

「必ず今日は釣るぞ。」

二人はもう一度気合いを入れ直す。

男は仕掛けをルアーからTの言っていた仕掛けに変更した。

釣りというものはその仕掛けで釣れたからと言って、

その仕掛けに替えればポンポンと釣れる物でもなく、

その人の技術や経験、知識もちろん運もあるだろう。

男はただひたすら

投げては巻き

投げては巻き

久しぶりの釣りで釣ろうとそれを繰り返した。

もうそれは作業的なものとなっていた。

そういう部分が男の性格的に合わず約15年間まったく釣りをしてこなかったわけである。

もちろん上手な人達は色々と考えながらそれを繰り返し、その日のブラックバスの反応を見ているのだろうが、

初心者の男には知識などはなく、

Tにレクチャーしてもらった様にただ投げては巻く作業を続けるのだった。

釣りをしながらは他愛のない話をしたり、Tにこの辺釣れるかもよと言われた場所に移動しながら

三人は釣りを続けた。

男は久しぶりの釣り、しかも知識のあるTと気心知れたSと一緒に行っているので釣れない時間が過ぎてはいたが、

楽しんでいた。

ちなみに男の趣味はBMXである。

BMXに乗ってる時は常に体を動かしているので、

男は久しぶりに釣りの、BMXに乗っている時には無い、そのゆっくり過ぎてく時間を存分に味わっていた。

色々と場所を変えながら

投げては巻き

投げては巻き

時折、当たりと思われる反応が何度かあった。

その反応だけでも初心者の男には楽しかったのだ。

釣れなくても自分の仕掛けに反応するブラックバスがいる。

そう思うと男は楽しかったのである。

今回訪れた池は池の周りが舗装されており、池を一周回る事ができる。

ちょうど池を半周ほど回った時に、

Tのタイムアップの時間がきた。

ちょうど9時頃だった。

Tが帰るので男とSはTに教えてもらった別の池へと移動した。

男の足元に小さなブルーギルが泳いでいた。

そのブルーギルの近くに仕掛けを落とすと、ブルーギルが興味を示し反応してくる。

それも楽しかった。

またその池にはザリガニもいた。

男は「ザリガニ釣れるかな?」

と思いザリガニの前にワームを落とした。

するとザリガニは反応しハサミでワームをはさんでくる。

そのタイミングで竿を上げるとザリガニを釣りあげる事ができた。

3匹のザリガニを釣りあげ男は少し満足そうである。

その池では1時間程いたがお互い釣れなかった。

時計を見ると10時を回っていた。

朝食を食べていない男たちはその池を後にして

コンビニで朝食を済ませる。

そして次の場所へ移動しようと車走らせていると、男のシャツに釣針が引っかってしまった。

男はどうにか針を取ろうとしたが、取れず結局シャツを少しハサミで切り針を取った。

「ブラックバスは釣れずに自分が釣れちゃったよ」

なんて冗談を男は言った。

つづく・・・かも?